25事務年度の所得税実地調査は1割減
Posted on 05/03/2015 by Koji Takahashi
国税通則法改正による新税務調査手続は、事務量の増加を招き、その結果実地調査の件数は1割超減り6万件強となりました。
1.傾向
事務量の増加確認を「実地調査の1件当たりの日数」でみてみますと、前年度より0.6日多い9.2日ですが、その前の事務年度を累計すると実質2日間増加しています。
一方で、調査とは別の簡易な接触が大幅に増加しています。改正前と比較してみますと、16万件増加の83万7千件となっています。
簡易な接触とは、お尋ねや申告内容の是正を促す文書などをいいますが、「自発的な適正申告を確保するための多様な手法の活用」が一段と進んだことになります。
従って、このような簡易な接触もあり得るということで注意を払う必要があります。
2.ワースト業種
申告漏れ割合が高いのは、①風俗業88%、②キャバレー77.4%、③バー71.1%で、このベスト3は、前年の順位と変化がありません。
3.最近の傾向
国税庁が最近重点的に強化している調査は、次の3点になっています。
イ) 富裕層に対する調査
あらゆる資料や情報等を基に重点的に調査が継続されていますが、この層の追徴割合は前年比1.7倍となっています。
ロ)海外取引・無申告に対する調査
海外にペーパーカンパニーを設立して、そこに利益を留保するなどの方法で申告を漏らしているケース等、このジャンルでの申告漏れは前年比2.1倍となっています。
ハ) インターネット取引に対する調査
ネットオークションでオンラインゲームのアイテム取引を行って、その利益を申告していないなど前年比申告漏れは1.5倍となっています。