贈与税の申告状況と贈与税非課税特例

Posted on 19/11/2015 by Koji Takahashi

1.平成26年分贈与税の申告状況

申告人員は51万9千人で、前年より2万8千人増加、納税人員と申告納税額のいずれもが増加しています。「暦年課税」の申告人員・納税人員・申告納税額はいずれも増加した一方で「相続時精算課税」の申告人員・納税人員はいずれも減少、但し、申告納税額は増加しました。

2.贈与税の課税制度

大きく課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の二つがあり、一定の要件に該当する場合は、相続時精算課税制度を選択することができます。この制度は、贈与時には本制度に係る贈与税額を納付し、その贈与者の相続開始時には、本制度を適用した受贈財産の価額と相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額を課税価格として計算した相続税額から、既に納付した本制度に係る贈与税額を控除した金額を納付する制度です。

3.三つの非課税特例

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは一定の非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となる「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」が新たな仕組みに衣替えされます。と共に新たに結婚・子育ての一括贈与に係る贈与税の非課税制度が創設され、既存の教育資金に係る贈与税の非課税制度と合わせて三つの非課税特例が準備されることになりました。後段の二つの制度は、一回の支払をダブルカウントすることができませんが、これらの制度を併用することは可能です。

三つの制度をうまく利用すれば、相当な金額を贈与税の負担なしに次世代に移行することができますが、実施には冷静で慎重な対応が求められることも忘れてはなりません。