消費税の簡易課税制度

Posted on 20/09/2016 by Koji Takahashi

1.簡易課税制度

消費税の仕入税額控除について、基準期間の課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者については、仕入控除税額を実際の課税仕入れ等の税額ではなく、課税売上高に対する税額の一定割合とする簡易課税制度が適用されます。

2.事業区分とみなし仕入率

簡易課税制度では、その事業形態によって、第一種事業(卸売業、みなし仕入率90%)、第二種事業(小売業、みなし仕入率80%)、第三種事業(製造業等、みなし仕入率70%)、第四種事業(その他の事業、みなし仕入率60%)、第五種事業(運輸通信・金融保険・サービス業、みなし仕入率50%)、第六種事業(不動産業、みなし仕入率40%)の6種類の事業に区分し、それぞれの事業の課税売上高に対して、仕入控除税額を計算します。

3.2種類以上の事業を営む場合

2種類以上の事業を営む場合には、原則として、課税売上高を第一種事業から第六種事業に区分して、それぞれのみなし仕入率を適用することになります。

ただし、2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合については、全体の課税売上に対して、その事業のみなし仕入率を適用することができます。

また、3種類以上の事業を営む事業者で、そのうち2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の75%以上を占める場合には、その2種類の事業のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高について、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率を適用することができます。

4.2種類以上の事業を区分しなかった場合

2種類以上の事業を営む事業者が、課税売上げを事業ごとに区分しなかった場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して、仕入税額控除を計算することになります。

5.簡易課税選択届出書等

簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに、所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です。

また、簡易課税制度の適用を取りやめようとする場合には、原則として、取りやめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。

ただし、簡易課税制度の適用を受けている場合、原則として、2年間継続適用したあとでなければ、その適用を取りやめることはできません。

6.課税売上高が5千万円を超える場合

簡易課税制度選択届出書を提出している場合でも、基準期間の課税売上高が5千万円を超える課税期間については、簡易課税制度は適用できません。