金地金を売却した時の税金

Posted on 22/02/2013 by Koji Takahashi

    個人が金地金を売却した場合、継続的な取引を行うケースを除いてその利益は分離課税で

なく総合の譲渡所得と扱われます。

    従って、確定申告が必要となり、会社からの給与など他の種類の所得と共に総合課税されま

す。 今回はこの件について考えます。

「基本的な考え方」

1.保有期間が5年以内の場合

    売却価額から購入価額と売却費用を除いたものが”譲渡益”になります。総合の譲渡所得に

は50万円の特別控除額がありますので、5年以内の保有期間の譲渡の場合は、”譲渡益”か

ら50万円を差引いた残額全額が課税対象となります。

2.保有期間が5年超の場合

    5年超ですと、”譲渡益”から50万円を差引いた金額の、さらに2分の1が課税対象となりま

す。なお、5年以内と5年超の金地金を同時に売却したケースでは、特別控除額は両方で50万

円で頭打ちとなりますが、その控除は5年以内の方から優先的に控除されることになります。

「留意点」

    最近ではあまり例がないと思われますが、金地金の売却によって損が出た場合には、他の

譲渡所得からその損失を差引くことが可能です。また、金投資口座や金貯蓄口座から得た利

益は、金融類似商品の収益として一律20%の税率で源泉徴収されて完結しますので、区別し

て対応します。

「最近の傾向」

    国税庁発表の調査実績によれば、国税当局は、近年歴史的な高値水準にある金地金等の

取引に注目しており、23事務年度は前年度より347件多い1309件の非違が発見され、1件当

たり604万円の申告漏れとなっています。この1件当たりの申告漏れの規模では株式等の3倍

にもなります。また、24年1月以降の取引から支払調書制度が導入されています。