財産債務調査の概要と改正

Posted on 17/08/2023 by Koji Takahashi

 この度、国税庁に対する情報公開により財産債務調書の加算税の軽減と加重制度の運用実績が明らかとなりました。

①財産債務調書とは
 3の通り、令和5年以降は改正されますが、現在では、主に所得税等の確定申告書を提出する必要のある方であり、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する場合に財産債務調書を確定申告と同様に3月15日までに提出する必要があります。
 財産債務調書には、財産の種類、数量および価額ならびに債務の金額その他必要な事項を記載したうえで、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

②加重税軽減と加重制度
 財産債務調書の提出義務のある人が、調書の未提出、記載漏れをした財産・債務に起因する所得税や相続税の修正申告をした場合、それに基づく本税額の5%の加算税に加重を行います。一方で、調書を提出期限までに提出していたケースで記載した財産・債務に起因する所得税や相続税に修正申告をした場合、5%軽減されます。現在、各地の国税局は税務調査に当たり、財産債務調査の提出の有無、財産・債務の記載漏れの有無等の確認の徹底を図っています。

③制度の改正
 令和5年度からは同制度が改正され、財産債務調書の提出義務者は、その年の12月31日時点で、合計10億円以上の財産を保有する人が対象となっています。これに該当する場合で、2で記載したような場合は、これまでと同様に加算申告加算税の軽減や加重等に該当する場合があるので、気をつけて下さい。なお、財産債務調書の提出期限は、その年の翌年の6月30日までに延長されました。