給与所得者の特定支出控除

Posted on 15/03/2016 by Koji Takahashi

1.特定支出控除

給与所得者が、特定支出をした場合に、その金額がその年の給与所得控除額の2分の1(平成27年分までは、給与等の収入金額が1,500万円を超える場合には、125万円)を超えるときは、特定支出控除の適用を受けることができます。

その場合には、確定申告をすることによってその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことになります。

2.特定支出

特定支出とは、給与所得者が支出する次に掲げる支出のうち一定のものをいいます。

ただし、給与等の支払者から補てんされ、かつ、その補てん部分について所得税が課されない場合には、その補てんされる部分は除くこととされています。

①  一般の通勤者として、通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)

② 転勤に伴う転居のために、通常必要であると認められる支出(転居費)

③ 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として、研修を受けるための支出(研修費)

④ 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)

⑤ 単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)

⑥ 勤務に必要な一定の支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給料等の支払者より証明がされたもの(勤務必要経費)

3.勤務必要経費

上記⑥の勤務必要経費とは、次の支出をいいます。

a) 書籍、定期刊行物その他の図書で、職務に関連するものを購入するための費用(図書費)

b) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)

c) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

なお、職務必要経費の支出額が、65万円を超える場合には、65万円までの支出に限定されます。

4.資格取得費

上記④の資格取得費について、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。

5.給与等の支払者の証明

特定支出については、いずれも給与等の支払者が証明したものに限られます。

そして、特定支出控除を受けるための確定申告の際には、特定支出に関する明細書、給与等の支払者の証明書、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を添付する必要があります。

なお、給与等の支払者の証明書については、特定支出の区分ごとに、(勤務必要経費については、a)~c) の細目ごと)様式が用意されています。