経営者の高齢化と事業承継

Posted on 18/07/2023 by Koji Takahashi

 中小企業庁は本年3月に「令和4年中小企業実態基本調査」の速報を公表しました。この調査は毎年、個人事業主を含む中小企業約11万社を対象に実施されています。

①経営者年齢の分布と後継者の決定状況
 今回の調査では、中小企業の社長の年齢別構成比について、「70歳代」が27%で最も多く、次いで「60歳代」の26.4%、「50歳代」の22.7%となっており、とくに70歳代の社長の年齢別構成比が直近の3回の調査では、3回とも連続で最多となっております。このような統計からも経営者の高齢化が進んでいることは一目瞭然であり、高齢化が進むにつれて、年齢を理由に引退を迎える経営者が増加することも予想されます。その際は、企業がこれまで培ってきた事業や貴重な経営資源を次世代の後継者となる経営者に引き継いでゆくことは重要です。
 しかしながら、同調査では社長年齢別に後継者の有無について確認した結果を統計しており、60代では約半数、70代は約4割、80代は約3割で後継者が不在となっています。

②事業継承の実態と政府の支援
 経営者の高齢化と後継者不在という状況を背景とした休廃業・解散が生じています。このような中で、円滑な事業継承が喫緊の課題となっています。「同族承継」の割合が最も多いですが、全体に占める割合は年々減少しており、「外部招聘」なども増加傾向にあり、親族外承継が事業承継の有力な選択肢のひとつとなってきています。
 また、政府としても平成29年度から10年程度を「承継円滑化法」に基づいて、事業支援の集中実施期間と定め、税制や予算面などで総合的な支援をしています。事業継承は長い期間を要する取組であり、経営者が高齢になるほど時間的な猶予は限られるため早めに検討を始めることが重要です。