社宅における「通常の賃貸料」 ~役員と使用人との取扱いの差異~
Posted on 09/08/2013 by Koji Takahashi
会社が役員や使用人に借上社宅を使用させた場合には、該当者から一定の方法により計算される「通常の賃貸料」を徴収する必要があります。この「通常の賃貸料」」と実際に徴収している賃貸料との間に差額が生じている場合には、その差額はいわゆる現物給付の給与とされ課税の対象となります。
1.社宅が小規模住宅等に該当する場合
小規模住宅等とは所得税基本通達により床面積が132㎡(耐用年数が30年を超えるものの場合には床面積が99㎡)以下のものが該当します。この小規模住宅等に該当すれば、社宅における「通常の賃貸料」の計算で役員と使用人との間に差異は生じません。
2.社宅が小規模社宅等に該当しない場合
この場合は最初から役員と使用人とに分けて「通常の賃貸料」を計算します。役員であるときは所得税基本通達36-40に規定する方法により、使用人であるときは同通達36-41に規定する方法で算定することになります。
なお、使用人が貸与を受ける場合には「通常の賃貸料」の額の2分の1相当額以上を徴収していれば経済的利益の額はないものとして取り扱われますが、一方役員の場合には、この取り扱いの適用はありません。
3.留意点
① 住宅手当として現金支給する場合や当事者が直接契約している場合の家賃負担額は給与として課税されますので留意してください。
② 使用人が役員に就任するようなケースでは、「通常の賃貸料」の計算を再度やり直す必要がありますので留意してください。
③ 役員への住宅貸与による経済的利益の金額が発生する場合には、いわゆる定期同額給与に該当することとなりますが、この場合、取締役会等で定めている個々の役員報酬の上限を超えないよう留意してください。