平成28年分相続税申告状況 ~前年の申告大幅増加に続き微増~
国税庁の発表によれば、平成28年に亡くなった人、被相続人数は130万7,748人で、過去最高だった前年より1万7,304人増加しています。
① 被相続人数と課税割合
平成19年以降で初めて被相続人の数が130万人を超え、さらに課税割合も平成26年分が4.4%だったものが8.1%(前年分8%)になっています。これは、平成27年から相続等の基礎控除が従前の60%に引き下げられたためです。
各国税局のうち東京・大阪・名古屋の三つの国税局の平成28年分の申告状況を鳥瞰すると、以下のとおりです。東京局管内の相続税の課税対象者は3万3千人弱(前年分3万2千人強)、課税割合は12.8%(同12.7%)、税額累計は8,140億円(同7,615億円)でした。大阪局管内の課税対象者は1万7千人強(同1万6千人強)、課税割合は8.4%(同8.2%)、税額累計は3,041億円(同3,159億円)でした。名古屋局管内の課税対象者は1万6千人強(同1万6千人)、課税割合は11%(同11%)、税額累計は2,452億円(同2,381億円)となっています。
② 相続財産の内訳
10年前と比較すると相続財産に占める土地の割合が当時の47.8%から38%に減っています。これに対して有価証券と現金・預貯金の割合は、当時の36.3%から45.6%へと増加しています。
③ 名義預金に注意
一方で相続税の税務調査の結果についても公表されていますが、平成28年分では現金・預貯金等の申告漏れ額が一番多く1,070億円で、その申告漏れ割合は33.1%となっています。この原因は、名義上は配偶者等の預金であっても相続財産として申告が求められるケースがあるためです。名義預金とされないためにも、預金通帳の管理は被相続人が行っていたのか、印鑑が被相続人のものか、引き出して利用していたのは誰かなどが留意事項となりますので、注意したいものです。