コロナ禍下の路線価の考え方
7月1日に公表された路線価等はコロナ感染症が確認される以前の1月1日が評価時点ですので、この結果は過去の話となり、現実味がありません。今回は、この状況が発生する前の7月発表の内容を整理し、その後に10月以降に対応措置が公表されるとする路線価に初めて適用される予定の補正率について考えみます。
1.令和2年分の路線価等
令和2年1月1日が評価時点です。この時点での全国約32万地点の標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値は、沖縄県の10.2%上昇を筆頭に1.6%のプラス(前年は1.3%)で、5年連続で上昇。
都道府県別では、北海道、東京、大阪、沖縄など21都道府県が上昇し、残った26県が下落となり、横ばいはありませんでした。
都道府県庁所在都市の最高路線価の推移は、上昇都市が昨年の33市から38市に増加しました。他方、横ばいから上昇が松江、長野、徳島、青森、津、岐阜の6市となっています。上昇から横ばいとなったのは、秋田、富山の2都市です。全国での最高路線価は35年連続銀座中央通りの「鳩居堂」前で、1平方メートル当たり4,592万円(上昇率0.7%)と4年連続で過去最高額を更新しました。
2.補正率(仮称)について
平成初めのバブル崩壊の頃には、路線価が時価を上回る逆転現象が生じ、鑑定評価による時価申告が容認されていました。今回検討される「補正率」は、昨年の台風被害や東日本大震災時の「調整率」とは異なり、7月1日時点の公示地価や半期毎の地価ルックレポートをベースに10月頃に1月から6月までの相続開始分の「補正率」が認定され公表されるようです。さらに今年後半分の「補正率」は10月1日時点の地価ルックレポートをベースに来年1月頃の公表が予定されます。
半期毎の路線価の補正率の設定は、初めてのケースで注目されるところです。