「路線価」と「公示地価」
Posted on 19/10/2018 by Koji Takahashi
2018年分の路線価が公表されました。全国約33万9千地点の標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値は上昇率0.7%(前年は同0.4%上昇)となり、結果3年連続で上昇しました。
今回は、この路線価の傾向と公示地価との関係について考えたいと思います。
1.傾向
今回の路線価は、上昇率5%の沖縄をトップに、18都道府県で上昇しました。宮城と愛知は6年連続、東京や大阪は5年連続の上昇でした。
一方、下落したのは北陸4県や四国4県などの計29県でした。下落幅は18県で縮小した一方で、7県では拡大しています。外国観光客の増加や駅前の再開発の影響で都道府県庁のある都市の最高路線価は前年より6都市多い33都市で上昇しています。
不況を乗り越えて成長を続ける大都市と、疲弊する地方との明暗が浮き彫りとなったかたちです。
2.路線価の基本的な考え方
国税庁が相続税・贈与税を課税するための評価額を算定するために作成しているもので、毎年7月1日に全国の国税局、税務署で一斉に公表されます。今はインターネットでの閲覧が一般的になっています。
3.公示地価の基本的な考え方
国土交通省が公示地の毎年1月1日現在の価格(公示地価)を3月下旬に官報に公示しています。土地取引にあたっての取引価格の指標を与えることを目的として作成されるもので、不動産担保の評価や公共用地の買収に使われます。
4.路線価と公示地価の関係
現在、路線価は公示地価の80%の水準で設定されています。これは、1年間の地価変動に対する安全性を確保するためと説明されていますが、長年の経済変動のなかでこの水準が妥当であるかどうかの議論は残っています。