「赤字法人割合」が11年ぶりに増加!
Posted on 20/09/2022 by Koji Takahashi
令和2年4月1日から令和3年3月31日までの事業年度に関して行われた「2020年分会社標本調査」で明らかになったことについて、今回は考えてみます。
1.黒字法人と赤字法人の法人数の推移
この度の調査は、約204万社の法人を対象に実施されました。その中では以下のようなことが明らかになりました。まず、法人数全体は約280万社と、平成24年度以降、8年連続で増加しており、過去最大の法人数でもありました。しかし、このうち利益計上法人数は前年より0.3%減少し約105万社となり、10年ぶりに減少しました。一方で、欠損法人は前年より2.9%増加し、約173万社と2年ぶりに増加しました。また、欠損法人が全法人に占める割合は63.3%となり、リーマン・ショック以降下がり続けていた赤字法人割合は11年分に増加しました。
2.黒字法人の営業収入額の減少と所得金額の増加
この度の調査では黒字法人の営業収入額は前年から2年連続で減少している一方、所得金額については前年から0.8%増加し、減少した去年に比べ増加に転じました。
これは、営業収入額には売り上げしか含まれませんが、所得金額には雇用調整助成金や新型コロナウイルス関連の補助金や助成金なども含まれていることが要因として挙げられます。
3.主な業種間の所得金額の増減
業種間では、上から「金融保険業」「その他製造業」「サービス業」と続き、一方で、所得金額の減少額が最も大きかったのは鉄道、バスなどの「運輸通信公共事業」でした。また、外食自粛の影響を受けた「料理飲食旅館業」が前年比3.7%減となっています。このようなデータにも、新型コロナウイルスの影響が色濃く反映されていて、不要不急の外出が減少する一方で、巣ごもり需要が拡大したという背景がみてとれます。