「生計を一にする」の解釈 ~国税通則法・所得税法・法人税法~
Posted on 13/05/2016 by Koji Takahashi
「生計を一にする」という用語は、さまざまな税法で用いられています。その目的とする用語の使い方・目的は、各々の税法に則して定義されていますが、今回は、各々の税法におけるこの用語の意味を整理したいと思います。
1.国税通則法
基本通達では、「生計を一にする」とは、「納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合が含まれるとし、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするもの」と定められています。
2.所得税法
法第56条では「生計を一にする親族」に支払った対価を必要経費不算入にするといった規定もあり、さらに雑損控除や医療費控除などの所得控除において「生計を一にする親族」の判定が係ってきます。
国税通則法の通達と基本的に同様の内容となっています。特に起居を共にしていない場合で、勤務等の都合で生活費等を送金して扶養している場合をケースとして挙げています。
一方で、国外居住親族に係る扶養控除等については本年1月1日より厳格に扱われるようになり、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」を提出又は提示しなければならないこととされましたので注意が必要です。
3.法人税法
法人税法では同族関係者の範囲に係わってくるのが、大きな論点となります。
具体的には、法令第4条の同族関係者の範囲のなかで「生計を一にするこれらの親族」という用語が出てきますが、基本的に国税通則法での解釈をベースにすることになります。