請負契約書の収入印紙 ~俳優等の専属契約書なども~
1.印紙税
印紙税は、印紙税法に規定する20種類の課税文書を作成した時に、その作成者がその課税文書に収入印紙を貼付することによって納税する税金です。
今回は、その20種類の課税文書の中から、「請負に関する」契約書(第2号文書)についてみていきましょう。
2.契約と契約書
契約とは、二以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為をいい、一般的には一方の当事者の申し込みに対して、他方の当事者が承諾することにより成立します。
印紙税法における契約書とは、契約証書、協定書、約定書、覚書その他文書の名称のいかんにかかわらず、契約当事者間において契約(その予約を含みます)の成立、更改、内容に変更や補充の事実を証明する目的で作成される文書をいいます。
また、念書、請書など契約の当事者の一方のみが作成する文書や契約の当事者の全部あるいは一部の署名を欠く文書であっても、当事者間の了解や商習慣に基づいて契約の成立等を証明する目的で作成されるものも契約書に含まれます。
3.請負に関する契約書
請負とは、民法第632条<請負>に規定する請負をいいますので、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することです。仕事の完成には、建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守点検、清掃などの役務の提供も含まれます。
したがって、具体的には工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが請負に関する契約書に該当し、プロスポーツ選手や映画やテレビ俳優などの専属契約書もこれに含まれることになります。
4.他の類型の文書となる場合
請負に関する契約書に該当するものであっても、営業者間において継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは、印紙税では「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当することがあります。
また、運送契約については、契約の類型上、一般的には請負契約に含まれると考えられますが、印紙税では「運送に関する契約書」(第1号の4文書)となります。
5.印紙税額
請負に関する契約書(第2号文書)の印紙税額は、記載された契約金額に応じて200円(記載された契約金額が1万円以上100万円以下のもの)から60万円(記載された契約金額が50億円を超えるもの)まで定められています。
なお、記載された契約金額が1万円未満のものは非課税、契約金額の記載のないものの印紙税額は200円となっています。
また、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に関する契約に基づき作成される契約書で平成30年3月31日までに作成されるもの(記載された契約金額が100万円を超えるもの)については、軽減措置が適用されます。