個人の不動産貸付における事業的規模とは
Posted on 28/07/2015 by Koji Takahashi
個人の不動産貸付においては、その規模が事業的規模なのかそうでないかにより、税務の取扱いに差異が生じます。
今回は、この点についてまとめてみます。
1.事業的規模に該当するかどうかの基準
原則論としては、実質的に社会通念上事業と称するに足る程度の規模で行われているかどうかで判断されます。
一方、形式的な基準として、アパート等については、おおむね10室以上、独立した家屋の貸付けであれば、おおむね5棟以上であれば、事業的規模として扱われます。
2.事業的規模の貸付けの場合
①不動産や船舶などの取り壊し・滅失などによる損失額の扱い:全額が、その損失が生じた年分の必要経理となります。
②賃借料の貸倒れによる損失額の扱い:全額が必要経費となります。
③青色事業専従者給与、(白色)事業専従者控除の扱い:青色は基本的に全額が必要経費となりますが、白色の場合には一定の限度計算以内が必要経費となります。
④65万円の青色申告特別控除の扱い:不動産所得金額が限度となりますが、全額が控除対象となります。
⑤確定申告の延納に係る利子の扱い:不動産所得に対応する部分が必要経費となります。
3.事業的規模以外の貸付けの場合
上記との対応関係では以下のようになります。
①不動産所得の金額を限度とする額までが必要経費となります。
②不動産所得の金額の範囲内までの額が必要経費となります。
③適用はありません。
④青色の場合:10万円の青色申告特別控除が限度となります。
⑤適用はありません。