~H29事務年度~ 法人税等の調査事績概要
国税庁は昨年12月に平成29年7月から30年6月までの法人税等の調査事績を公表しました。
1.概要
調査件数としては、25年1月の国税通則法改正により税務調査手続きが法定化されて、実地調査件数が大幅に減少して以来最多となった前事務年度を若干上回りました。このうち、法人税の非違があった法人は7万3千件で、その申告漏れ所得金額は、9,996億円、追徴税額は1,948億円となっています。
2.実調率等
①実調率は前年度と同様3.2%で、税務署所轄法人が3.1%、調査課法人が10.2%となっています。調査1件当たりの所要日数は11.3日で前事務年度の平均11.1日からわずか0.2日延びました。国税庁は従前同様に「消費税還付申告法人」「無申告法人」「海外取引法人」を中心に調査を実施しています。
3.法人消費税の調査事績概要
同事務年度の法人消費税の実地調査件数は前年度比0.9%増の9万4千件でした。このうち消費税の非違があった法人は、前年比0.6%増の5万5千件、その追徴税額は4.7%減の748億円となっています。
4.源泉所得税等の調査事績概要
同事務年度では、前年度比0.1%増の11万6千件の源泉徴収義務者について実地調査がなされ、非違件数等は1%増の3万6千件、その追徴税額は8.3%増の304億円となっています。特に海外取引等案件では78億円の追徴課税となっています。
5.不正発見割合の高い業種等
この業種目のワースト3は前年と同順位で1位が不正発見割合66.4%のバー・クラブ、2位が同48.1%の外国料理、3位が同41.8%の大衆酒場・小料理となっています。注目すべきはパチンコ業で、不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種2位で4,929万円、不正発見割合でも29.2%で、この部門でも7位にランクインしています。どちらでも長く常連となっています。