欠損金の繰越控除

Posted on 09/11/2015 by Koji Takahashi

1.制度の概要

内国法人の各事業年度開始の日前9年(平成20年4月1日前に終了した事業年度において生じた欠損金額については7年)以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合には、その欠損金額に相当する金額は、その各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入することができ、これを、欠損金の繰越控除といいます。

欠損金の繰越控除は、欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって、欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存している場合に限り、適用されます。

2.適用除外

他の者による特定支配関係を有することとなった欠損金額等を有する法人(欠損等法人)が、その特定支配関係を有することとなった日(特定支配日)から5年以内に、特定支配日の直前において、営む事業のすべてを廃止するとともに、その事業の事業規模のおおむね5倍を超える資金の借入等を行うことなどの一定の事由に該当するときは、その該当する日の属する事業年度(適用事業年度)以後の各事業年度においては、その適用事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額については、繰越控除は適用されません。

3.繰越控除の限度額

平成24年4月1日以後に開始する事業年度から、欠損金の繰越控除は、その各事業年度の所得の金額の100分の80に相当する金額が限度とされています。

ただし、中小法人等(資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等を除く法人)については、限度額の規定は適用されません。

4.期間の延長

平成27年度税制改正によって、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合に、適用されることとされました。

この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用されます。

5.繰越控除の限度額の改正

平成27年度税制改正によって、繰越控除の限度額について、その各事業年度の所得の金額の100分の50に相当する金額に引き下げられることとされました。

ただし、中小法人等については、従来どおり限度額の規定は適用されません。

6.経過措置

この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用されます。

なお、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度における控除限度額については、その各事業年度の所得の金額の100分の65に相当する金額とされました。