所得税等の調査事績 ~平成29事務年度~
国税庁は平成30年11月に平成29事務年度所得税等の調査事績をまとめています。
1.概要
所得税の調査等の合計件数は前事務年度比3.8%減の62万3,000件となっています。一方申告漏れ所得金額は逆に同比1.7%増の9.038億円となっています。調査の4つの主なテーマは、前年度に引き続き「富裕層」「海外投資等を行っている個人」「無申告者」「インターネット取引を行っている個人」となっています。
2.富裕層
有価証券や不動産などの大口所有者で経常的な所得が特に高額な個人に対しての調査は前年度比24.6%増加の約5,200件強となっています。その結果非違と認められた件数は、同25.3%増加の約4,200件強となり、この集計方法が始まって以降、全ての面で最多となりました。なお、富裕層、インターネット取引(仮想通貨)の調査の実例も公表されています。
3.海外投資等
特に海外投資等を行っている富裕層に対しての調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額は、大幅に増加しています。
4.無申告者
申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている一般の納税者との間に強い不公平感をもたらすことのないように簡易な接触も活用して積極的な調査を実施しています。調査件数と申告漏れ所得金額は増加しましたが追徴税額は減少しています。
5.インターネット取引
インターネット取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的な調査を展開しています。具体的にはインターネットを利用して行われる仮想通貨、株、外国為替等のネットトレードに対して行わています。
6.その他
事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業者は、1位キャバクラ、2位風俗業、3位不動産仲介となっており、不動産仲介は昨年の14位から大幅上昇となっています。