国税庁平成27事務年度 所得税調査等の状況
Posted on 16/02/2017 by Koji Takahashi
国税庁から平成27事務年度所得税調査等の状況が発表されましたが、その特徴を見てみます。
(1)全体の傾向
調査件数は、前年度比12.1%減少の65万件強で、そのうちの非違件数も同様15.1%減少の40万件弱であったものの申告漏れ所得金額や追徴税額は各々1.5%と6.5%増加となりました。この原因は、高額と思われる事案や悪質と見込まれる事案等を優先的に調査した結果とされています。不動産等の大口所有者や経常的な所得が高額な者などのいわゆる富裕層に対する調査や、海外投資等を行っている富裕層等に集中的な調査が実施されています。
(2)調査の種類
次の三つの類型に分類されています。
①特別調査、一般調査
これらの調査は、高額や悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を実施するもので、特別調査は多額な脱漏が見込まれる者等を対象に10日以上の日数を確保して実施されています。
②着眼調査
資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れが見込まれる事案を対象に実地臨場により短期間で行うものとされています。
③簡易な接触
原則実地臨場は行わず、文書や電話連絡又は来署依頼による面接を通して申告内容を是正するものとされています。
ちなみに、1件当たりの申告漏れ所得金額の高額ベスト3は、キャバレー、風俗、畜産農業となっています。
(3)調査事例
①海外未公開株式の譲渡所得の申告漏れ、②消費税課税事業者とならないように意図的に収入金額を過小申告、③金地金等の譲渡所得の無申告、 ④実態の取引金額と異なる契約を作成、等々。
(4)法人税実地調査
なお、参考までに、ほぼ同時に発表された法人税の実地調査割合という考え方をすれば、実調率は3.1%となり、前年度比1.6%減となっています。