「相続税の申告要否検討表」について
平成27年以後の相続税の課税ベースの拡大によって、相続税の申告案内に係る書類の一部見直しが行われました。具体的には、課税庁が申告の要否を確認するための「相続税の申告要否検討表」が追加された件です。今回はこの話題を掘り下げてみたく思います。
1.相続税申告案内
この制度は、相続税の課税が見込まれる者に税務署が一定の書類を送付する取り組みのことを言います。具体的には、相続開始後10ヵ月以内に相続税の申告・納税が必要となるかの確認を対象者と思われる者に注意喚起して、相続税の申告書又は相続税の申告要否検討表の提出をお願いするものです。
2.この取組の対象者は?
本取組は、一定のシステムによって抽出された「申告案内対象事案」に係る相続人等に書類が送付されることになっているようです。この抽出基準は不明とされていますが、被相続人の過去の申告等の状況から具体的基準が設けられており、この基準は、適切にかつ適宜見直されているようです。
3.これらの書類はいつ頃到着でしょうか
相続税の申告期限の4か月目を目途に書類が送られてきます。送付対象者は、例えば、相続開始月が1月であれば、申告案内月が7月となり、順次12月まで各々対応月が一覧で決まってきます。
4.この要否検討表の提出義務?
この提出依頼はあくまでも納税者の協力のものに行われる「行政指導」がその根拠になっています。従って、「相続税の申告要否検討表」は必ず提出せねばならない書類ではありませんが、依頼された書類の未提出の状態は、印象としても余り宜しくないでしょうし、後日税務署から提出の再お願いが来ることも予定されています。
5.本取組の対象として発送した件数
実際の送付件数は未発表ですが、相続税の課税ベースの拡大と相関して、今後も相当数の事案に対して書類が送付されると思われます。