短期役員退職金の課税方法の見直し

Posted on 05/02/2013 by Koji Takahashi

1.改正内容

    退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残

額の2分の1に相当する金額とされていますが、税制改正によって、特定役員退職手当等に係

る退職所得の金額については、「2分の1」規定がなくなり、退職手当等の収入金額から退職所

得控除額を控除した残額に相当する金額とされました。

    ここでは、その内容について、確認していくことにしましょう。

2.特定役員退職手当等

    特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、次に掲げる者(役員等)としての勤続年数

(役員等勤続年数、1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)が5年以下

である者が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます。

①法人税法上の役員

②国会議員及び地方公共団体の議会の議員

③国家公務員及び地方公務員

3.適用関係

    この改正は、平成25年1月1日以後に支払うべき退職手当等について適用されます。

    そして、所得税だけでなく住民税についても適用されることになります。

4.使用人退職金と特定役員退職手当等を支給する場合

    使用人としての退職金と特定役員退職手当等の両方を支給する場合には、次の①と②で計

算した金額の合計額がその年の退職所得金額となります。

①使用人としての退職手当等に係る課税退職所得金額

        「使用人としての退職手当等の収入金額-(退職所得控除額-特定役員退職所得控除

    額)」×1/2

② 特定役員退職手当等に係る退職所得金額

        特定役員退職手当等の収入金額-特定役員退職所得控除額

5.特定役員退職所得控除額

    特定役員退職所得控除額とは、使用人としての勤続期間と役員としての勤続期間に重複す

る期間がない場合には、その人の勤続期間のうち特定役員等勤続年数に応じた退職所得控

除額をいいます。

    また、使用人としての勤続期間と役員としての勤続期間に重複する期間がある場合は(使用

人兼務役員期間がある場合)には、次の算式で計算した金額となります。

    40万円×(特定役員等勤続年数-重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数

6.退職所得の受給に関する申告書

    短期役員退職金の課税方法の見直しに伴って、退職所得の受給に関する申告書(退職所得

申告書)の記載事項について、改正が行われています。

    それぞれの欄の勤続年数について、「うち特定役員等勤続期間」を記載する欄と、その特定

役員等勤続期間の「うち重複勤続期間」を記載する欄が設けられましたので、特定役員等勤務

期間、重複勤続期間がある場合には、その期間を記載することになります。