国外財産調書の提出制度
1.国外財産調書の提出制度の創設
適正な課税・徴収の確保を図る観点から、国外財産の所有者に対して、その所有する国外
財産についての申告を義務付ける、国外財産調書の提出制度が創設されました。
2.提出義務者
その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する
人は、国外財産調書を翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならないこと
とされました。
国外財産調書には、その財産の種類、用途(一般用及び事業用の別)、所在、数量、価額
その他必要な事項を記載する必要があります。
3.国外財産
国外財産とは、「国外にある財産」をいいますが、国外にあるかの判定は、財産の種類に応
じて次のように行います。
① 動産、不動産:その動産、不動産の所在地が国外であるかどうか
② 預貯金、積金:その預貯金、積金の受入をした営業所、事業所の所在地が国外であるかど
うか
③ 社債、株式:その社債、株式の発行法人の本店または主たる事業所の所在地が国外であ
るかどうか
4.国外財産の価額
国外財産の価額については、その年の12月31日における時価または時価に準ずる見積価
額によることとされています。
国外財産調書への価額の記載は、邦貨(円)で行うことになりますので、その年の12月31日
における外国為替の売買相場によって、邦貨換算することになります。
5.財産及び債務の明細書との関係
国外財産調書の提出者が、所得税法上の「財産及び債務の明細書」を提出する場合には、
その財産及び債務の明細書には、国外財産調書に記載される「国外財産」に関する事項の記
載をする必要はありません。
なお、財産及び債務の明細書については、その年分の各種の所得金額の合計額が2,000
万円を超える場合に、提出する義務があります。
6.加算税の取扱い
国外財産調書の提出がある場合には、記載された国外財産に関して所得税、相続税の申告
漏れが生じた時であっても、過少申告加算税、無申告加算税について5%減額されることになり
ます。
一方、国外財産調書の提出がない場合や提出された国外財産調書に国外財産の記載がな
い場合(記載が不十分と認められる場合を含みます)には、所得税の申告漏れが生じたときは、
過少申告加算税、無申告加算税について5%加重されることになります。
7.適用関係
国外財産調書の提出制度は、平成26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について
適用されます。
したがって、最初の適用は、平成25年12月31日における国外財産の保有状況について、平
成26年3月17日までに調書を提出することになります。