年末調整保険料控除の留意点

Posted on 01/12/2022 by Koji Takahashi

1.保険料控除
年末調整において、従業員から提出された保険料控除申告書に基づいて、次の保険料控除を適用することになりますが、その留意点について確認していきましょう。

2.生命保険料控除
① 受取人要件
新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料については、保険金受取人のすべてを本人または配偶者その他の親族とするものが対象となります。新個人年金保険料、旧個人年金保険料については、年金の受取人を本人または配偶者が生存している場合にはその配偶者とするものが対象となります。

② 控除証明書
旧生命保険料で年間の保険料が9,000円以下であるものを除いて、生命保険会社等が発行した生命保険料控除証明書の添付が必要です。

➂ 契約者と保険料支払者が異なる場合
生命保険料控除の要件は、生命保険料を支払っていることであって、保険契約者であることは要件とされていません。したがって、たとえば妻が契約者である生命保険契約について、夫が保険料を支払っている場合には、保険金受取人の要件等を満たしているものであれば、実際に保険料を支払っている夫の生命保険料控除の対象となりますが、満期保険金受取時の贈与税課税等に留意する必要があります。

3.地震保険料控除
① 対象
本人または同一生計の配偶者・親族の所有する家屋で常時居住用のもの、生活用動産を保険の対象とする地震保険料を払った場合です。
その他、旧長期損害保険料(経過措置)も対象となります。

② 控除証明書
損害保険会社等が発行した控除証明書の添付が必要です。

4.社会保険料控除(申告分)
① 対象と控除額
本人または同一生計の配偶者・親族が負担すべき社会保険料を支払った場合が対象で、控除額は、その年中に支払った社会保険料の額(全額)です。

② 控除証明書
国民年金保険料、国民年金基金の加入者掛金(国民年金保険料等)に限り、日本年金機構(厚生労働省)または国民年金基金連合会が発行する証明書の添付が必要です。

5.小規模企業共済等掛金控除(申告分)
① 対象と控除額
小規模企業共済等掛金控除の対象は、1)小規模企業共済の掛金、2)心身障害者扶養共済制度の掛金、3)確定拠出年金法に基づく企業型年金加入者掛金または個人型年金(iDeCo・イデコ)加入者掛金で、控除額は、その年中に支払った小規模企業共済等掛金の額(全額)です。
ただし、社会保険料と異なり、小規模企業共済等掛金は本人分のみが控除対象となり、同一生計親族分を控除することはできません。

② 控除証明書
独立行政法人中小企業基盤整備機構等が発行した証明書の添付が必要となります。