国税庁発表による相続税の調査実績と今後
Posted on 22/05/2014 by Koji Takahashi
1.最近の動向
相続財産に占める土地の割合が、バブル後の平成4年分の75.9%からどんどん減少し、50%を割る一方で、現金・預貯金等の割合が特に最近増加してきています。 この傾向から現預金等の把握に調査の重点がシフトしてきています。 この結果、申告漏れ相続財産のなかでも現預金等が1,236億円と最も高く次いで土地の560億円、有価証券の431億円の順となっています。
2.海外資産関連
海外資産関連事案の調査も721件あり、多くの申告漏れ等の非違が指摘されました。 国際税務専門官の設置等で海外資産の把握が十分になされた結果とされています。 過小申告加算税等の特例を含んだ国外財産調査制度もいよいよ導入され、更なる課税整備がはかられつつあります。
3.贈与税の実地調査
相続税の補完税といわれる贈与税の調査件数も4599件実施されており、こちらも相続税調査と同様に現預金等の申告漏れが全体の62%を占めております。さらに無申告の事案が多いことも特徴的です。
4.今後
来年の1月から相続税の大幅改正が実施されますが、基礎控除額の縮小等でご自身の相続税申告が必要になるかどうか大いに気になるところです。
ここ数年は、相続税の課税割合の全国平均は4.2%程度で推移してきましたが、高齢化社会のもとで、この改正により、今まで相続税の課税対象者が5万2400人程度だった数から相当数増加すると予測されています。
特に家族名義の預貯金の明確な区分については、相続税でも贈与税でも預貯金等がターゲットになっておりますので、細かい管理(各自の管理)を今からでも実行すべきだと思われます。