重い教育費用の負担感 状況に応じた二つの贈与

Posted on 21/10/2013 by Koji Takahashi

文部科学省が行った「平成22年度子どもの学習費調査」の結果によると、幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の「学習費の総額」は、すべて公立に通った場合には約504万円となり、すべて私立に通った場合には、実に約3.4倍の約1,702万円となっています。また、母親に対して民間の教育総合研究所が行った実態調査によると「教育にお金がかかりすぎると思うか」という問いかけには、回答者の3分の2が同意しています。さらに「不況で教育費を減らした」という回答も実に4分の1を超えており、教育費用に対する負担感は重い傾向があるのが現状です。そこで今回は、創設された教育資金の一括贈与非課税制度(措法規定)と従前から存在する教育費贈与の非課税規定(本法)の違いと活用方法について考えてみます。

1.教育資金の一括贈与非課税制度(措法70-2-2)

(贈与者):直系尊属となります。

(受贈者):その直系卑属であることが必要であり、さらに教育資金管理契約締結の日において、30歳未満の者であることの受贈者に関する年齢制限があります。

(贈与の実行方法):まとめて(一括して)贈与して、その後に教育資金の支払いに直接充当します。

2.教育費の非課税規定(相法21-3①ニ)

(贈与者と受贈者):扶養義務者相互間の贈与となり、具体的には、①配偶者、直系血族、兄弟姉妹、②他の三親等内の親族(生計を一にしている者・家庭裁判所の審判を受けた者)となります。

(贈与の実行方法):その都度贈与し、直接教育費の支払いに充当します。とにかく使い切ることが前提となります。

従って、この制度や規定の違いを良く理解して、状況に応じてこれらの制度を最大限フル活用することが有効な対策になると思われます。