資産を低額譲渡した場合の課税関係
同族会社では、さまざまな理由から、関係者間における資産の移転(贈与・譲渡)が行われることが多くあります。資産の時価について、評価が難しいことに加えて、恣意性も入りやすく、税務トラベルになりがちです。今回は、低額譲渡のケースを整理してみたいと思います。
1.形態
譲渡者と譲受者の両当事者が個人か法人かで、税務の扱いが違ってきます。
2.譲渡者と譲受者が共に個人の場合
この場合は時価の2分の1以上・未満にかかわらず、譲渡者に対する課税関係は、いわゆる通常の金額計算となり、みなし譲渡課税はありません。ただ、譲渡損の通算は時価の2分の1未満の場合はできません。2分の1以上の場合でも不動産等の場合は原則的に平成16年以降はできません。一方譲受者に対する課税関係は、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合には、譲渡価額と相続税評価額又は通常の取引価額の差額は、みなし贈与として扱われます。
3.譲渡者が個人で譲受者が法人の場合
この場合は譲渡価額が2分の1以上か2分の1未満かによって課税関係は大きく変わります。時価の2分の1以上の譲渡価額の場合、譲渡者(個人)に対する課税関係は上記2.の場合と同様です。一方譲受者(法人)に対する課税関係は、譲受価額と時価との差額が受贈益として認定されることになります。そして、特に留意しなければならないのは、時価が2分の1未満の場合の譲渡者(個人)に対する課税関係です。みなし譲渡課税(その時の時価によって譲渡があったとみなされる課税)が適用されることになるからです。なお、譲受者(法人)に対する課税関係は2分の1以上の場合と同様です。
4.消費税
譲渡される資産が土地等である場合には、非課税となりますが、その他は原則として実際に受領した課税資産の譲渡等の対価の額が課税標準となります。