特別法人事業税の創設
1.税制改正による措置
平成31年度税制改正によって、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から、地方法人課税における新たな偏在是正措置として、特別法人事業税(国税)・特別法人事業譲与税が創設され、併せて法人事業税(都道府県税)の税率引き下げが行われました。
2.特別法人事業税の税率
特別法人事業税の税率は、法人の種類に応じて次のとおりです。
① 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額により法人の事業税を課される法人
基準法人所得割額(税額)に対して26%
② 所得割額により法人の事業税を課される特別法人
基準法人所得割額(税額)に対して34.5%
③ 所得割額により法人の事業税を課される法人
基準法人所得割額(税額)に対して37%
④ 収入割額により法人の事業税を課される法人
基準法人収入割額(税額)に対して30%
3.賦課徴収
特別法人事業税の賦課徴収は、都道府県が、当該都道府県の法人の事業税の賦課徴収の例により、当該都道府県の法人の事業税の賦課徴収と併せて行うことになります。
4.申告
法人の事業税に係る申告書を提出する義務がある法人は、当該申告書に記載すべき所得割額又は収入割額に係る基準法人所得割額又は基準法人収入割額、これらを課税標準として算定した特別法人事業税の額その他必要な事項を記載した申告書を、当該都道府県の法人の事業税の申告の例により、当該都道府県の法人の事業税の申告書と併せて、当該都道府県の知事に提出しなければなりません。
5.納付
特別法人事業税の納税義務者は、特別法人事業税に係る徴収金を当該都道府県の法人の事業税に係る地方団体の徴収金の納付の例により、当該都道府県の法人の事業税に係る地方団体の徴収金と併せて当該都道府県に納付しなければなりません。
6.特別法人事業譲与税
特別法人事業税の収入額に相当する額については、特別法人事業譲与税として、都道府県に対して譲与されます。
7.法人事業税の税率引き下げ
特別法人事業税の負担に見合う法人事業税の税率引き下げが行われました。
例えば、資本金1億円超の普通法人等の所得割の税率は3.6%が1%に、資本金1億円以下の普通法人等の800万円超の所得に対する税率は9.6%が7%に、収入金額課税対象法人の収入に対する税率は1.3%が1%に、それぞれ引き下げられました。
8.適用
特別法人事業税の課税と法人事業税の税率引き下げは、令和元年(2019年)10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。