平成23年度 法人税申告実績 ~実感はないが単年度黒字申告割合上昇~
Posted on 22/01/2013 by Koji Takahashi
国税庁は、平成24年度3月までの1年間の決算法人の法人税申告状況をこのほど公表しま
した。
これによりますと景気回復の実感はほとんど感じられませんが、単年度の黒字申告割合は
平成19年度以来の4年ぶりに5割を超え52.2%となっているとのことです。今回はこの件を考え
てみます。
(1)単純黒字申告割合
平成24年7月までに申告があった法人の黒字申告割合は25.9%とあいかわらず4社に1社
のペースでした。しかし、繰越欠損金控除前の黒字申告割合は52.2%となっており、2年前(
21年度)の46.3%と比べるとはるかに好転している結果になっています。
(2)欠損金の繰越控除制度
この制度は、平成23年12月の改正によって7年から9年に延長されており、過去には5年の
時期もありました。
さらに平成24年4月1日以後開始事業年度に適用されます大法人の欠損金の繰越8割制限
も、これからの繰越欠損金後の黒字申告割合に影響を与えると思われます。
なお、繰越欠損金控除前の黒字申告割合が5割を超えるのは、4年前の平成19年度の
53.9%以来となっています。
(3)申告所得金額等の推移
平成23事務年度の申告所得金額は約37兆円で平成9並びに20事務年度の水準に近く総
じて回復の兆しが見えます。東日本大震災の大きな影響は今のところ表面化しておりません。
一方で法人税額は約9兆5千億円でここ4年間10兆円のラインには到達しておりません。
事務年度により税率の差はありますが、同じ30%の法人税率であった13事務年度と同水準
となりました。
その他連結納税の適用法人数が1万社を突破したことも注目しなければならない事象です。