~平成30事務年度~ 所得税の調査事績概要
実地調査件数は前年度比1.9%減の61万655件でした。
1.概要と特色
申告漏れ等の非違があったものは37万3880件(2.6%減)。申告漏れ所得金額は9,041億円で追徴金額は1,195億円でした。
特色としては、平成前半に主流だった重点業種の調査手法にとって代わり、「富裕層」「海外投資等」「インターネット取引」「無申告」の4つの重点取組に基づく管理と調査に移行したことです。特に富裕層と海外投資等のミックス案件ですと、1件当たりの増差所得や追徴税額もひところの5倍強となり、富裕層に対する申告漏れ所得金額は、過去最高になっています。
海外投資等についていは、海外からのCRS情報に基づく情報を効果的に活用した初めての調査事例も今回明らかにしています。CRS情報とは、外国の金融機関等を用いた国際的な脱税および租税回避に対応するため、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に情報交換を行う制度です。2018年からスタートして、同年10月までに海外から55万件が収集され、今回の調査事績にも活用されています。
2.調査種類
① 実地調査(特別調査、一般調査)
高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に相当の日数を確保して深度ある調査を行います。
② 実地調査(着眼調査)
短期間で申告漏れ所得の把握を行う調査で資料情報や申告内容の分析を重視します。
③ 簡易な接触
原則的に臨場せずに、文書や電話による連絡又は来署依頼による面接を行って申告内容を是正します。
①~③の手法により限られた人員でバランスよく配分して調査を実施しています。
3.1件当たりの申告漏れ所得の高い業種
ワースト4は、昨年2位の風俗業が1位となり、1位だったキャバクラが2位、3位が昨年は高順位になかった経営コンサルタント、4位はシステムエンジニアとなっています。