相続税の最新調査状況

Posted on 04/02/2016 by Koji Takahashi

国税庁が平成27年11月発表した平成26年事務年度における「相続税の調査の状況について」につき、今回はまとめてみたいと思います。

1.実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

平成24年に発生した相続を中心にした実地調査の件数は12,406件(平成25事務年度11,909件)で、このうち申告漏れ等の非違があった件数は10,151件(平成25事務年度9,809件)。その割合は81.8%(平成25事務年度82.4%)となっています。

2.申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は3,296億円(平成25事務年度3,087億円)で、実地調査1件当たりでは2,657万円(平成25事務年度2,592万円)となっています。

3.申告漏れ相続財産の金額の内訳

この内容については関心の高いところですが、全体の36%弱を占める現金・預貯金等が1,158億円で最も多く、続いて15%強の有価証券が490億円、13%弱の土地が414億円の順となっています。ここ数年との比較では、有価証券と土地の順番が入れ替わっているのが特徴的です。

4.追徴税額

加算税を含む追徴税額は670億円(平成25事務年度539億円)で、1件当たりでは540万円(平成25事務年度452万円)となっています。

5.留意点

この発表はトピックスが3項目ついており、これらの項目が、今後も重点事項として留意されなければなりません。

① 海外資産関連事案に係る調査実績、② 無申告事案に係る調査実績、③ 贈与税に係る調査実績の3項目です。

とくに①については今後も租税条約等に基づく情報交換制度の効果的活用や国外財産調査制度の充実化により、さらに積極的調査が増すものと思われます。