特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却、又は法人税額の特別控除の創設

Posted on 26/09/2017 by Koji Takahashi

1.制度の創設

平成29年度税制改正において、中小企業者等が、特定経営向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除が創設されました。

ここでは、この制度の内容を確認していきましょう。

2.特別償却

中小企業者等(原則として、資本金1億円以下の法人)が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間(指定期間)内に、特定経営力向上設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、または特定経営力向上設備等を製作し、若しくは建設して、これを国内にある当該中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その供用年度のその特定経営力向上設備等について、即時償却ができることとされました。

3.特定経営力向上設備等

特定経営力向上設備等とは、生産等設備を構成する機械及び装置(取得価額160万円以上)、工具・器具・備品(取得価額30万円以上)、建物付属設備(取得価額60万円以上)、ソフトウェア(取得価額70万円以上)で、経営力向上設備等に該当するものをいいます。

対象となる設備には、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)があります。

生産性向上設備(A類型)は、生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備で、収益力強化設備(B類型)は、投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備です。

4.特別税額控除

中小企業者等が、指定期間内に、特定経営力向上設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、または特定経営力向上設備等を製作し、若しくは建設して、これを国内にある当該中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合において、特別償却の規定の適用を受けないときは、供用年度の所得に対する調整前法人税額から取得価額の7%(中小企業者等のうち資本金3千万円以下の法人については10%)の税額控除を適用することができることとされました。

ただし、税額控除は、調整前法人税額の20%相当額が限度となります。

5.税額控除限度額の繰越

青色申告書を提出する法人が、各事業年度において繰越税額控除限度超過額を有する場合には、その事業年度の所得に対する調整前法人税額から、繰越税額控除限度超過額の税額控除が可能です。

ただし、税額控除は、調整前法人税額の20%相当額が限度となります。

6.手続

生産性向上設備(A類型)については工業会等の証明書、収益力強化設備(B類型)については経済産業局の確認書を取得することになります。

そして、その当該設備を利用し生産性を上げるための「経営力向上計画」を策定して、各事業分野の担当省庁に申請を行い、各担当省庁から計画認定を受ける必要があります。