海外渡航費の処理

Posted on 20/04/2015 by Koji Takahashi

1.海外渡航費

法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(支度金を含む)は、その海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費として損金処理ができます。

したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、その役員又は使用人に対する給与とされます。

なお、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費とすることができることとされています。

2.業務上の必要性の判断

法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとされていますが、次に掲げる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外旅行に該当しないこととされています。

① 観光渡航の許可を得て行う旅行

② 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

③ 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認めるもの

3.観光渡航の許可を得て行う旅行等の特例

法人の役員又は使用人の海外渡航が、上記①~③に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて法人の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、法人の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について直接要した費用の額は、旅費として損金の額に算入されることができます。

4.一部私的旅行を行った場合

業務上の海外渡航の際に、一部私的な観光を行った場合には、原則として、その海外渡航に際して支給する旅費を法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によって按分して、法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、その役員又は使用人に対する給与とする事になります。

ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せ行うものである場合には、その往復の旅費(その取引先の所在地等その業務を遂行する場所までのものに限ります)については、法人の業務の遂行上必要と認められるものとされ、その往復の旅費以外の金額については、按分を行うことになります。