平成25年分の相続税の申告状況

Posted on 30/04/2015 by Koji Takahashi

本年1月1日から改正相続税・贈与税の適用が始まっています。相続税の改正は主に次の4点です。① 相続税の基礎控除の大幅縮小。 ② 相続税の最高税率の引上げ。 ③ 小規模宅地等の特例では対象の拡大。 ④ 未成年者控除と障害者控除額の引上げ。 一方贈与税の改正は主に次の3点です。⑤ 最高税率引上げの一方で、直系尊属から孫等への贈与に特例税率が設けられた。⑥ 相続税精算課税の要件の緩和。 ⑦ 事業承継税制の適用要件の緩和、等がなされました。

こんな状況下で、昨年12月に国税庁から相続税の申告状況が発表されています。昨年10月末日までの1年間に提出された相続税額のある申告書データの速報版です。 申告事績の概要から見えてくるものを分析してみます。

1.25年中に亡くなった被相続人数、相続税の課税対象となった被相続人数はいずれも過去最高数でした。最も関心がもたれる課税割合は、前年比0.1ポイント増の4.3%となっています。

2.「課税価格」

相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものを言います。被相続人一人当たりの「課税価格」は前年比4.2%増の2億1,362万円、同税額も同18.6%増の2,824万円となっています。

3.相続財産の金額構成

土地が41.5%、続いて現預金が26%、有価証券が16.5%となっています。

4.留意点

前述の課税割合は、ここしばらく4.3%程度で推移してきましたが、①の相続税の改正により6%超まで急上昇する見込みで、特に都心部では相続税の申告や納税が必要になるケースが増加しています。そこで、納税資金の原資となる現預金や保険金額について、相続財産の構成比がどうなっているか再チェックしてみることが重要です。