地方法人税が与える影響 ~純資産価額方式の法人税等の税率

Posted on 16/12/2014 by Koji Takahashi

平成26年10月1日から地方法人税が創設されましたが、このことによって実務に与える影響はどのようなものでしょうか。
1.地方法人税の性格
創設の目的は、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図ることにあります。
法人住民税の法人税割の税率引き下げに合わせて、地方交付税の財源を確保するための地方法人税制度(国税)が誕生しました。
平成26年10月1日以後に開始する課税事業年度の課税標準法人税額に4.4%の税率を乗じて計算した地方法人税を通常の法人税と同時期に申告・納付することになります。
2.純資産価額方式への影響?
取引相場のない株式の評価方式にはいくつかの方法がありますが、そのひとつに純資産価額方式があります。
具体的には、評価する会社の課税時期時点の純資産価額[相続税評価額]から負債合計額[相続税評価額]と評価差額に対する法人税額等相当額をマイナスして算出するやり方です。
ここで問題となるのは、この法人税相当額の税率です。この税率も数次の改正を経ており、最近では、復興特別法人税が1年前倒しで廃止されたために、平成26年4月1日以降の相続・贈与税から改正前の42%から40%へ引き下げられています。
税率には、法人税だけでなく、事業税、住民税等が含まれるので、今回の地方法人税の創設による税率の変化が気になるところです。
結論から言えば、国税たる地方法人税が創設されましたが、いわば法人住民税の一部が地方法人税へ振り替えられるだけで、結果法人の税負担は変わらないため、平成26年10月1日以後もその法人税額等相当額税率は40%が変化なく適用されます。