名義財産とは何か? ~被相続人に帰属する名義財産の扱い~

Posted on 07/11/2016 by Koji Takahashi

名義財産という言葉をよく聞きます。現実の社会では、色々な実情で他人名義で財産を取得したり、他人の名義に変更することがよくあります。今回は、名義財産と課税の扱いにスポットを当ててみます。

1.具体例

債務執行を回避するため預貯金などの名義を家族名義にするケースや金融目的のため譲渡担保として土地を債権者名義に変更するケース等が考えられます。とくに相続税において課税上よく問題となるのが、被相続人以外の他人名義の財産の帰属です。その典型的なケースが、家族や知人の名義を借用した預貯金等(名義預金)と、過去に会社設立時に借りた家族や知人名義の株式等(名義株式)があります。

2.考え方

被相続人と異なった名義の財産であったとしても実質的に被相続人に帰属する財産だとすれば、その財産は相続財産となります。

3.各種広報事例

国税庁① 「相続税の申告のしかた」Q&A家族名義の財産は?

<問> 父(被相続人)の財産を整理していたところ、家族名義の預金通帳が見つかりました。この家族名義の預金も相続税の申告に含める必要があるのでしょうか。

<答>名義にかかわらず、被相続人が取得等のための資金を拠出していたことから被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となります。したがって、被相続人が購入(新築)した不動産でまだ登記をしていないものや、被相続人の預貯金、株式、公社債、貸付信託や証券投資信託の受益証券等で家族名義や無記名のものなども相続税の申告に含める必要があります。

② 「相続税のあらまし」 相続税が課される財産の項、

③ 「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」 事例⑥の被相続人以外の名義の財産(預貯金)、

④ 「相続税の申告のためのチェックシート」の有価証券と現金・預貯金の項。

等々積極的広報が目立ちますので申告時には呉々も対応は慎重に行いたいものです。