印紙税の取り扱い ~前借金領収書等はどうなる?~

Posted on 02/05/2017 by Koji Takahashi

1.社内領収書

本社の社員が出張所から現金を回収する際に発行する領収書について、同一法人の部内又は本店、支店や出張所の間で、事務の整理上作成する文書については、その作成者の人格が同一であることから、約束手形や船荷証券に該当する場合を除いて、印紙税の課税対象にはなりません。

2.会社と社員間の領収書

会社と社員との間で作成される文書については、人格が同一ではなくそれぞれ独立した人格を有する者の間のものですから、同一法人内で作成する文書には当たりません。

しかしながら、会社の社員が、会社の業務執行に関して給付される給料、出張旅費等の前渡しを受けた場合に作成する前借金領収書等で、その領収書等が社内規則等によって会社の事務整理上作成することとされているものについては、その前借金等を後日支給されるべき給料、旅費等によって相殺することとしているなど消費貸借に関する契約書の性質を有するものであったとしても、印紙税の課税対象である消費貸借に関する契約書としては取り扱わないこととされています。

なお、会社がその社員に対して、住宅資金の貸付けを行うような場合については、その住宅資金は、会社等の業務執行に関して給付されるものに当たりませんので、住宅資金について金銭消費貸借契約書や金銭借用証書などを作成する場合には、消費貸借に関する契約書(第1号の3文書)として、印紙税の課税文書となります。

3.身元保証契約書

印紙税では、債務の保証に関する契約書(第13号文書)について、課税文書とされています。ただし、債務の保証に関する契約書のうち、身元保証に関する法律に定める身元保証に関する契約書は、非課税とされています。身元保証に関する契約書とは、身元保証人が雇用関係に基づく使用者と被使用者との間で被使用者の行為により使用者が受けた損害を賠償することを約したものです。

なお、非課税とされる身元保証に関する契約書には、雇用関係に基づくものだけでなく、病院と患者又は学校と学生の間において、患者又は学生等の保証人が作成して、その病院又は学校に提出する身元保証契約書も含むこととされています。

4.クレジット取引の契約書

金銭又は有価証券の受領事実を証明する目的で作成されたものが、金銭又は有価証券の受取書(第17号文書)として、印紙税の課税文書となります。クレジット取引による販売の場合については、信用取引により商品を引き渡すものであり、金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、たとえ、文書の表題が領収書となっていても、金銭又は有価証券の受取書には該当しませんので、印紙税の課税文書にはなりません。

ただし、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を記載していない領収書については、金銭又は有価証券の受取書として印紙税の課税文書に該当することになります。