医薬品に係る医療費控除の特例

Posted on 22/08/2016 by Koji Takahashi

1.医療費控除

本人自身や生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費を支払った場合には、医療費控除の適用を受けることができます。

具体的には、その年中に支払った医療費の額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除きます)が10万円(総所得金額等の合計が200万円未満の場合は、総所得金額の5%相当額)を超える場合には、その超える部分の金額(200万円が上限となります)について、その年分の総所得金額等から控除することができます。

2.医療費控除の特例の創設

平成28年度税制改正によって、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病への予防の取組を行う個人を対象として、セルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)推進のためのスイッチOTC薬控除が、医療費控除の特例として創設されました。

3.医療費控除の特例の内容

健康の維持増進及び疾病への予防の取組として一定の取組を行なう個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品(特定一般用医薬品等)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除きます)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(8万8千円が上限となります)について、その年分の総所得金額等から控除することができます。

4.一定の取組

医療費控除の特例の適用を受けるための前提としての健康の維持増進及び疾病への予防の取組としての一定の取組とは、① 特定健康診査、② 予防接種、③ 定期健康診断、④ 健康診査、⑤ がん検診をいい、医師の関与があるものに限られます。

5.特定一般用医薬品等

一定のスイッチOTC医薬品(特定一般用医薬品等、医療用から転用された一定の一般用医薬品等で医師の処方箋がなくても購入できるもの)とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものをいい、類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものは除かれます。

スイッチOTC医薬品に該当するかどうかについては、厚生労働大臣告示によって、82種類(平成28年3月31日時点)の有効成分が示されており、各製薬会社からこれらの有効成分を含むスイッチOTC医薬品の届出を受けた厚生労働省が、具体的な商品名をホームページで公表していくことになっています。

6.選択適用

この医療費控除の特例は、従来の医療費控除との選択適用とされていますので、この医療費控除の特例の適用を受ける場合には、従来の医療費控除の適用を受けることはできません。