債務免除益を考える

Posted on 02/02/2018 by Koji Takahashi

同族会社とそのオーナー社長は、密接な関係のもと二人三脚で会社経営を継続していると言えます。

そのなかでも会社の代表者が会社に対して有している貸付金等の免除を行うケースが少なからず生じます。また、まれに、その逆のケースもあります。これらの場合の税務処理はどう考えるべきでしょうか。

1.会社社長が会社に対して債務免除を行った場合

社長が会社に対して債務免除を実行することで会社は経済的利益を受けることになります。よって、債務免除を受けた金額は益金として計上する必要があります。会社にとっては、税務上の繰越欠損金が無い限り、その債務免除益は法人税等の対象となります。逆に一般的には債務免除をする社長個人については課税上の問題はないと思われます。 *一方、社長の相続税の観点から考えると、社長に万一のことがあったりすると、その債権金額は課税遺産となりますので、注意する必要があります。

2.会社が会社社長に対して債務免除を行った場合

1.と逆のケースとなりますが、社長個人が会社から経済的利益を受けることになりますので、税務上は役員賞与が社長に対して支給されたと解されます。

従って会社では、役員賞与に該当する源泉徴収義務が発生すると共に役員賞与の損金不算入という複合的な課税関係が生じます。その一方で、社長個人については給与所得の増加による所得税・住民税の問題が発生します。

留意すべきは、社長が資力を喪失しており、この債務を弁済することが著しく困難であると考えられるケースでは、この債務免除益に係る所得税等が課されない場合もあり得ます。

ケースごとに慎重に判断されるべきです。