使用人賞与の未払金の計上の可否

Posted on 05/09/2016 by Koji Takahashi

使用人賞与は、普通、法人税法上の一般管理費等の費用の額に含まれます。しかし、債務が確定していないとその事業年度の損金の額に算入されません。再確認してみたいと思います。

1.債務の確定

この意味は、その事業年度の終了の日までに、① その費用に係る債務が成立していること、② その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること及び、③ その費用の金額を合理的に算定することができること、の①~③のすべての要件に該当していることになります。

2.使用人賞与の特殊性

法人税法上は、使用人賞与に限っては、上記1.と別に法人税法施行令第72条の3(使用人賞与の損金算入の時期)において、次の①~③の区分によって、各々損金算入時期を定めています。

イ)第1号賞与  労働協約、又は就業規則により定められている支給予定日が到来している賞与については、その事業年度において支給されたものとします。(使用人にその支給額が通知されており、かつ、その事業年度に損金経理されているもので、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度)

ロ)第2号賞与  次の要件のすべてを満たす賞与

① その支給額を、各人別かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること。

② その通知した金額をその通知をした事業年度終了の日の翌日から1ヵ月以内に支払っていること。

③ その支給額を通知した日の属する事業年度において損金経理していること。

ハ)第3号賞与  第1号、第2号賞与以外の賞与で賞与が支払われた日の属する事業年度とする。

3.実務上の留意点

実務上では、上記第2号賞与の①から③までの要件についての解釈上の争いが多く発生しています。3要件をすべて充足して、最終的にはその賞与を支払わなければ損金の額に算入できませんので留意して下さい。