会社の役員報酬の適正額とは?

Posted on 17/05/2017 by Koji Takahashi

会社法では「報酬等」の定義を、一方、法人税法では「役員給与」の考え方と取り扱いを定めていますが、役員報酬の適正額はどう考えるべきなのか、まとめてみたいと思います。

1.会社法の考え方

取締役のお手盛り支給を禁じており、その報酬等の内容については、定款の定め又は株主総会の決議によって定めることにしています。

2.法人税法の考え方

退職給与を除く役員給与について、法人税法が定めている定期同額給与・事前確定届出給与及び利益連動給与以外の給与の額を損金不算入としています。さらに定期同額給与等に該当するものであっても、不相当に高額であるとされる部分は、損金不算入としています。

3.「不相当に高額」の判断

政令で定められており、その判断材料は、① その役員の職務の内容、② その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給状況、③ 類似法人(その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの)の役員に対する給与の支給状況等の三本柱となっています。

4.実務上の判断

適正額の実質判断においては、3.の③の判断基準によるところが最も多いところです。但し、この場合類似法人の選定は、専ら課税庁サイドでないとわからない部分であり、さらには、その数社の類似法人の平均額によって適正額を判定すべきか、最高額によって適正額を判定すべきかという問題も生じます。

5.裁判例

過去の裁判の実例では、平均額の2.5倍を超えていて過大であると認定された事例(名古屋地裁8、3、27判決)や、類似法人の最高支給額を超えていて最大であるとされた事例(東京地裁28,4,22判決)もあります。

従って、その適正額の判定は難解でありますが、会社としては、その役員報酬の算出根拠を明確に説明できるようにしておくべきでしょう。