人間ドック費用負担の留意点

Posted on 16/11/2018 by Koji Takahashi

一般的に実施されている人間ドックの費用は社内規定等にのっとっていれば、原則として、給与として課税されることはありません。但し、ケースにより給与課税の問題が生じます。

1.原則的な考え方

所得税基本通達36-29では、そのサービスの性質や提供目的等を考慮して、利用者が受ける利益が著しく多額な場合や、役員だけを対象としてサービスを提供する場合を除いて、課税しないこととしています。

2.充たすべき要件

次の二つの条件をすべて充足していれば給与課税はありません。

①全使用人又は一定年齢以上の希望者はすべて検診を受けることができ、検診を受けた人のすべてを対象としてその費用を負担すること。

②検診内容が一般に実施される程度のものであり、その経済的利益の額が著しく多額でないこと。

3.留意点

上記1と2を基本とするため次の点に留意します。

①役員などの家族に対する費用を会社が負担した場合は、原則として役員などに対する給与課税が生じます。

②業務上やむを得ず指定検診日に検診できなかった使用人に対して、検診費用を現金支給して後日受診させた場合は、結果として金銭支給となり、課税されることになりますので注意してください。

4.法人税

法人が検診費用を負担した場合、所得税の取扱いで給与とされるものを除いて、福利厚生費として損金の額に算入されます。所得税で給与扱いされる場合には、役員報酬・賞与又は使用人給与として処理され、損金不算入となることもあります。

5.消費税

給与とされない検診費用で、かつ、消費税法別表第1に掲げられている医療に該当しない場合は、課税仕入れとして仕入税額控除の対象となります。