中小企業向け「賃上げ促進税制」

Posted on 22/08/2022 by Koji Takahashi

中小企業庁は中小企業(資本金1億円以下の企業など)向けの「賃上げ促進税制」の資料の更新をしました。同日に経済産業省も同税制の大企業向けの詳細資料を公表しています。今回は中小企業向け(個人事業主はR5年、R6年の各年対象)の適用要件の見直しを整理します。

1.適用期限等
青色申告書を提出する法人が、R4年4月1日からR6年3月31日までの間に開始する各事業年度に雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加した時は、通常要件として、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%の税額控除がなされます。
ただし、特別控除税額は、当期の法人税額の20%が上限とされます。

2.適用要件(上乗せ要件)
雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加した場合には、控除率は15%上乗せされます。また教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加した場合には、控除率は10%上乗せされます。
従前まであった中小企業者等経営強化法の認定経営力向上計画における経営力向上の証明要件は廃止されました。

3.手続規定の簡素化
控除率の上乗せ要件のひとつである教育訓練費増加要件に係る明細書の「申告書への添付義務」が保存義務に改められています。

4.留意点
大企業向けと中小企業向けとでの「賃上げ促進税制」の適用要件は、大きく異なり中小企業向けは、利用し易いと言えます。ただこの税制を適用している中小企業の多くは、税額控除限度額の足切りの適用によって、その枠が使い切れていないケースが多い現況になっています。税額控除限度額枠の引上げや控除余裕額の繰越し制度の導入が待たれるところです。