財産債務調書

Posted on 11/07/2022 by Koji Takahashi

1.提出義務者
所得税等の確定申告書を提出しなければならない人で、その年分の総所得金額および山林所得金額の合計額が2千万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する人は、財産債務調書を翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する義務があります。

2.国外転出特例対象財産
国外転出特例対象財産とは、国外転出時課税制度の対象となる有価証券等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引に係る権利をいいます。

3.記載内容
財産債務調書には、その財産債務の区分に応じた種類別、用途別(一般用及び事業用の別)、所在別に、その財産の数量、価額、またはその債務の金額を記入します。
財産の価額は、その年の12月31日における時価、または時価に準ずるものとして見積価額(その年の12月31日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価格などを基に合理的な方法により算定した価額)によることになります。

4.国外財産調書との関係
国外財産調書を提出する人が、財産債務調書を提出する場合には、その財産債務調書には、国外財産の価額を除き、国外財産調書に記載した国外財産に関する事項については、記載を要しないこととされています。
この場合、財産債務調書には、国外財産調書に記載した国外財産の価額の合計額、国外財産調書に記載した国外財産のうち国外転出特例対象財産の価額の合計額を記載することになります。
なお、国外にある債務については、財産債務調書に記載する必要があります。

5.過少申告加算税等の軽減措置
財産債務調書を期限内に提出した場合には、財産債務調書に記載のある財産または債務に関して所得税等・相続税の申告漏れが生じたときであっても、その財産または債務に係る過小申告加算税等が5%軽減されます。

6.過少申告加算税等の加重措置
財産債務調書の提出が提出期限内にない場合や提出期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産または債務の記載がない場合(重要なものの記載が不十分と認められる場合を含む)に、その財産又は債務に関して所得税等の申告漏れ(死亡した人に係るものを除く)が生じたときは、その財産または債務に係る過少申告加算税等が5%加重されます。

7.令和4年度税制改正
令和4年度税制改正によって、財産債務調書の提出義務者の範囲が拡大され、その年の12月31日において、その価額の合計額が10億円以上の財産を有する人も提出義務者となりました。
また、提出期限は延長され、翌年の6月30日までとなりました。これらの改正は、令和5年分以後の財産債務調書から適用されます。