特定納税管理人

Posted on 19/04/2022 by Koji Takahashi

1.納税管理人
納税管理人とは、納税者が納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときに、これらの事項を処理させるため、国内に住所又は居所(事務所及び事業所を含みます)を有する人でこれらの事項の処理につき便宜を有するもののうちから選任される人(個人でも法人でも可)をいいます。たとえば、非居住者が国内に貸付用不動産を所有して賃借料収入があるような場合がこれに該当します。

2.特定納税管理人
令和3年度税制改正によって、従来の納税管理人制度に加えて、新たに特定納税管理人制度が創設され、令和4年1月1日から施行されています。
特定納税管理人とは、納税者から自発的に納税管理人の届出がない場合において、税務当局が納税者に対して納税管理人の指定及び届出を要請しても届出がないことなどの一定の要件を満たすときに、税務署長等が指定する国内便宜者(国内に住所又は居所を有する人で特定事項の処理について便宜を有するもの)をいいます。

3.特定納税管理人として指定できる人
税務署長等が、特定納税管理人として指定することができる人は、外国法人の場合には、納税者たる外国法人と相当な関連がある者として、移転価格税制における特殊の関係がある者、納税者たる外国法人等の役員及びその役員と同一生計の親族、非居住者(個人)の場合には、納税者たる非居住者の国内居住の同一生計親族などとなっています。

4.納税管理人の届出をすべきことの求め
納税管理人を選任すべき納税者が納税管理人の届出をしなかったときは、税務署長等は、その納税者(特定納税者)に対して、特定事項(国税に関する事項のうち納税管理人に処理させる必要があると認められるもの)を明示して、指定する日までに、納税管理人の届出をすべきことを書面で求めることができます。

5.納税管理人となることの求め
納税管理人を選任すべき納税者が納税管理人の届出をしなかったときは、税務署長等は、国内便宜者に対して、その納税者の納税管理人となることを書面で求めることができます。

6.特定納税管理人の指定
税務署長等は、指定日までに納税管理人の届出がされたなかったときは、納税管理人となることを求めた国内便宜者のうち一定の人を、特定納税管理人として指定することができます。

この場合には、税務署長等は、特定納税管理人及び特定納税者に対して、書面によって特定納税管理人を指定した旨を通知することとされています。

7.特定納税管理人の義務
特定納税管理人が処理すべき事項(特定事項)は、税務当局が納税者に対して発する書類の受領、受領した書類の納税者への送付、納税者が税務当局に対して提出する書類の受領、受領した書類の税務当局への送付その他これに類する事項とされていますので、特定納税管理人は納税者に代わって納税申告書の提出や納税の義務は負いません。