不動産管理料として認められる適正額とは

Posted on 03/07/2019 by Koji Takahashi

貸付け不動産を所有する個人が、不動産管理会社を設立して、その会社に管理料を支払ったり(管理会社方式)、不動産を会社に一括で貸し付け、更にその会社が第三者に転貸して(サブリース方式)、不動産所得を節税する方式がみられます。今回は、少し古い裁決例や裁判例ですが、これらを参考にして検討してみます。

1.国税庁の考え方

平成12年9月6日・課所6-46による内部の(指示)で次のような見解を示しています。

「不動産所得を有している個人が、自己または親族の主宰する不動産会社を設立し、その不動産管理会社に高額な管理料を支払うなどしている場合における当該管理料又は管理料率については、目安となる適正額等といったものはないのであり、委託する管理業務の内容、事業規模や収益の状況等個々の実態に応じて適切に取り扱うよう周知・徹底されたい」

2.裁決例

平成13年9月25日付裁決で、25%の管理料を支払っていた事例に対して、審判所は20%を相当とし、不動産管理料(管理料割合20%)を必要経費と認めました。

3.裁判例

平成13年9月10日付東京高裁判決で、比準同業者の平均管理料割合(10%前後)には合理性があるとされた事例です。比準同業者の管理料割合の平均値(平成4年分10.4%、同5年分9.78%、同6年分10.08%)を適正管理料割合と判断しました。

4.留意点

裁決例と裁判例では相反する判断が示されていますが、この類型は、実態が伴ってはじめて合理的方式と認められる点、十分注意しなければなりません。更に法人を活用する場合には、法人の税務申告等新たな事務負担が増えますので総合勘案して決定することをお勧めします。