非常勤役員である親族に対する役員報酬の税務上の取り扱い

Posted on 06/07/2012 by Koji Takahashi

1.過大役員報酬

非常勤役員である親族に対する役員報酬は、同族会社では常に税務調査の対象となり指摘されています。法的には法人税法34条、法令70条あたりが根拠条文となっていますが、具体 的に説明すれば以下の通りとなります。

<実質基準>
下記に照らして適正と認められる金額を超え、過大とされる部分
・役員の実際の職務の内容と実際
・法人の収入・利益 ・使用人に対する給料の支給状況
・類似業種、同規模等の役員報酬の支給状況など
注意 一般の同族会社においては、代表者の配偶者や親族に対する役員報酬で、実際の業務内容に照らして過大とされる場合があります。

<形式基準>
定款に規定または株主総会等の決議によって定められている報酬として支給限度額を基準とする額を超え過大とされる部分。

2.母親、配偶者、学生である子息に対する役員報酬

過大役員報酬で特に揉める対象となるものです。これらは、実質的には役員としての職責を果たすことが極めて困難なケースが多く、税務署側から見ても指摘しやすい部分でもあります。経営者側からの主張でよく言われることは、「先代の配偶者としての経営の相談を定期的に行っている」などがあります。実際に相談しているとしても、税務調査でそのまま通るかどうかは非常に難しく裁判での判例も多くでています。また、学生である子息に対する役員報酬も学生でありながら、役員として本当に経営の力になれるのかなど一般的に見ても疑問符がつくケースがあり、扱いには非常に注意が必要です。

3.対策

とはいえ、過去の判例等からみて全く駄目かというとそういうわけではありません。対策としては、やはり基本的なことの積み重ねが重要となります。役員報酬にかかわらず、税務調査では請求書、領収書などの証憑類だけでなく、議事録等の会社内部の管理資料も重要な調査の証拠書類となります。よって、常日頃から以下の点について注意しておくことが、税務調査におけるトラブル防止に役立ちます。勿論、最終的には実態調査になりますので、形式的なものを揃えたからといって追徴されないという保証はありません。

(1)取締役会議事録の作成・署名捺印
これは、非常に重要なことです。よく、役員会の議事録の作成がされていない会社がありますが、これでは税務調査で話し合いのスタートにも立てないことになります。
(2)職責の明瞭化
役員としてどのような職責を行っているのか、明確にしておくことです。調査が来て考えて答えているようでは手遅れです。また、実際に当該職責を行っている事実も重要ですが、中々、実
際には行っているという証明をするのが難しい場合もあります。なるべく、書類へのサイン、従業員の証言が得られうよう従事することです。会社に来て職務を行っていると主張したものの    の、実際には来ていなく、従業員からの証言も得られない場合は非常に難しいといえます。

4.判例等

判例等は様々なものがあります。先代の配偶者つまり母親に経営の相談ということで毎月500千円を支払っていたケースでは、350千円が否認されています。当該ケースでは議事録の作成はな
かったのですが、結果的に150千円の損金算入が認められていました。学生である子息のケースでは、古い判例では月々50千円のみ認められそれ以外は否認されています。別の判例では学校への       出席状況まで調査が行われ、最終的に全額が否認されていました。このケースでは、議事録の作成があったものの、実態がないとして全額が否認されていました。
以上から絶対という指針はなく、常日頃の積み重ねといかに証拠を残しておくかということが重要になります。

5.その他

以上は一般的な事業会社等に関してですが、私の経験から見ると同族で支配している一族の資産管理会社については、実質的に役員がほとんど何もしていなく形式的に取締役会議事録のサイン
をしている場合でも、過大役員報酬の指摘がないケースがありました。私見ですが、資産管理という側面から役員報酬が役員全員(株主=役員のケース)が共有している財産の分配という面も  あること、役員それぞれが自分の持ち株数で按分された資産について権利があり、いつでも発言できるということもあり税務調査ではよほどのことがない限り指摘してこないのかもしれません。