非居住者等に係る源泉徴収

Posted on 27/05/2016 by Koji Takahashi

1.非居住者等に係る源泉徴収

非居住者または外国法人(非居住者等)に対して、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払いをする者は、その支払いの際、所得税および復興特別所得税を源泉徴収して、税務署に納付する義務があります。

ここでは、不動産の譲渡と不動産の賃貸借に係る源泉徴収について、確認していくことにしましょう。

2.不動産の購入

非居住者等から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡代金を国内で支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

ここで、土地等とは、土地または土地の上に存する権利、建物およびその附属設備、構築物をいいます。

源泉徴収義務者には「土地等の譲渡対価の支払をする者」がすべて該当することになりますので、法人や事業所得者はもちろん、一般のサラリーマンなども対象となります。

3.源泉徴収不要の場合

個人が、自己またはその親族の居住の用に供するために、非居住者等から土地等を購入した場合であって、その土地等の譲渡対価が1億円以下である場合には、源泉徴収をする必要はありません。

4.不動産の賃借

非居住者等から日本国内にある不動産を賃借して、日本国内に賃貸料を支払う者は、非居住者等に対して賃借料を支払う際に、20.42%の税率で、所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

ここで不動産の賃貸料とは、国内にある不動産、不動産の上に存する権利の貸付けによる対価、採石権の貸付けの対価、租鉱権の設定による対価、船舶や航空機の貸付けの対価をいいます。

5.源泉徴収不要の場合

個人が自己またはその親族の居住の用に供するために、非居住者等から不動産を借り受けている場合には、源泉徴収をする必要はありません。

会社が、海外赴任者の自宅を借り上げて、他の社員に社宅として貸し付けるような場合は、賃借人が個人ではなく会社ですから、たとえその社員の居住用であっても、源泉徴収不要の場合には該当しませんので、注意する必要があります。

6.源泉徴収税額の納付

非居住者等に対して、国内において支払った不動産の譲渡対価、不動産の賃貸料から源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。

また、非居住者等に対して不動産の譲渡対価、不動産の賃貸料を国外で支払う場合であっても、支払者が国内に住所、居所または事務所等を有するときは、国内での支払いとみなして、源泉徴収しなければなりません。この場合の納付期限は、支払った月の翌月10日ではなく、支払った月の翌月末日となります。