雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度

Posted on 08/01/2013 by Koji Takahashi

1.特別税額控除制度

    平成23年度税制改正で創設された雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度につい

て、この制度は、法人(法人税)、個人(所得税)のいずれにも適用がありますが、ここでは、法

人を前提としてその制度の内容を確認していきます。

2.対象法人等

    この制度の対象となるのは、青色申告書を提出する法人(風俗営業等を行っている法人は

除きます)で、目標の雇用増加数等を記載した雇用促進計画を作成し、公共職業安定所長に

届出を行ったものです。

3.適用要件

    雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(労働者が雇用される事業)を行っている法人

について、次のすべてを満たしていることが要件となります。

    なお、①~③の要件については、これらの要件を満たしていることについて、事業年度終了

後2ヶ月以内に、公共職業安定所長の確認(証明)を受けることが必要です。

    ①適用事業年度および前事業年度において、会社都合による離職者がいないこと

    ②基準雇用者数が5人以上(中小企業者等については、2人以上)であること

            ここで、基準雇用者数とは、雇用者の増加人数(適用事業年度末の雇用者数-前事業

        年度末の雇用者数)をいいます。

            また、雇用者とは法人の使用人(役員と特殊関係にある使用人、使用人兼務役員を除き

        ます)のうち、雇用保険の一般被保険者に該当するものをいいます。

    ③基準雇用者割合が100分の10以上であること

            ここで、基準雇用者割合とは、雇用者数の増加割合(基準雇用者数/前事業年度末の

        雇用者数)をいいます。

    ④給与等支給額が比較給与等支給額以上であること

            ここで、給与等支給額とは、法人の所得の計算上損金の額に算入される給与等の支給

        額をいい、給与負担金等の支払いを受ける場合には、その金額を控除した金額です。

            また、比較給与等支給額とは、前事業年度の法人の所得の計算上損金の額に算入さ

        れる給与等の支給額に、当該給与等の支給額に基準雇用者割合を乗じて計算した金額の

        100分の30に相当する額を加算した金額をいいます。

4.税額控除限度額

    税額控除限度額は、20万円×基準雇用者数で計算します。ただし、適用事業年度の法人税

の額の10%(中小企業者等については、20%)が上限となっています。

    なお、法人税だけでなく、法人住民税にも適用されることになります。