贈与税の確定申告状況 ~傾向と対策~

Posted on 04/10/2016 by Koji Takahashi

贈与税の課税体系として、「暦年課税」と「相続時精算課税」とに大きく分かれます。さらに「暦年課税」には110万円の基礎控除がありますが、受贈者が20歳以上の直系卑属に該当するか否かで、一般贈与と特定贈与に分かれ、その他にも非課税特例(住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与)があります。

「相続時精算課税」にも、一般と住宅取得等資金に係る特例があります。これらの課税体系は10年少し前に比べると本当にバリエーション豊かになっています。この程、国税庁より平成27年分の贈与税の確定申告状況について発表があったので、その傾向を確認したいと思います。

1.概要

贈与税の申告書を提出した人は前年比3.7%増の53万9千人で、このうち申告納税額が発生しているものは4.6%増の38万3千人で、いずれも税制改正が行われた平成13年以後最高の数字となっています。このうち「暦年課税」適用者は4.1%増の48万9千人(このうち特定対象者は23万8千人)と大きく増加しました。一方、「相続時精算課税」を適用したものはほぼ横ばいの4万9千人でした。

2.申告納税額

「暦年課税」の納税額は前年比14.3%減の2,402億円でした。これは贈与税の税率構造が見直され、昨年1月以後の贈与から最高税率50%から55%に引上げられたことで、26年中に高額な贈与が駆け込みで行われた後の反動により減少したとみられています。「相続時精算課税」の納税額は、不動産の価格上昇が影響して10.2%増の241億円となりました。

3.対策

e-TaxなどのICTを利用して贈与税の申告書を提出できるようになりましたので、是非これを利用してください。この利用割合は、前年より7ポイント上昇して63.7%となっています。今後も、課税体系のなかの豊富なバリエーションを利用して個々人各々があてはめを検討することが肝要と思われます。