自筆証書遺言と公正証書遺言

Posted on 31/07/2019 by Koji Takahashi

民法規定の遺言には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類がありますが、③の利用例は少なく、①は2019年1月13日からの法改正により使い勝手がよくなりますので、①と②についてみてみることにします。

1.自筆証書遺言のメリット・デメリット

今回の法改正で可能となったものは、遺言書の全てを自署することは、高齢者には負担が大きいので、財産目録はワープロ作成や預金通帳の写しの添付でOKです。また、今後の話ですが、法務局の遺言書保管所に有料で保管してくれることが可能になります。また、この制度を利用すれば、裁判所の検認は不要となります。次に改正前からのメリットとしては、いつでも自由に記載でき、書き直しも容易な点があります。更に費用が掛からず自分の好きな場所に保管が可能でその内容を他人に知られずに済みます。

逆にデメリットとしては、まず、相続人が遺言の存在に気付かない可能性があります。形式の不備があるにも拘わらず、そのままにすると無効になる恐れがあります。また、遺言を隠されたり偽造される恐れもあります。死亡後においても裁判所の検認が必要となったり、相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

2.公正証書遺言のメリット・デメリット

形式上の不備で無効になることは少なく、かつ、遺言能力を否定される可能性も低い点が優れています。公証役場で書面が保管されるため、紛失の恐れはありません。遺言の内容を話すだけで公証人が書面として作成してくれます。

デメリットとしては、費用が発生する点と2名以上の証人の立ち合いが必要となり、証人には内容が知られてしまいます。原則公証役場に出向く必要があります。

3.留意点

相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議書の作成が可能であることを覚えておいてください。